TAJODA MOUSE(触覚ディスプレイ マウス)

文部科学省 知的クラスター創生事業 札幌地区ITカロッツェリア
2006年のプロトタイピング成果物
目が見えない方も、パソコンでインターネットを利用し様々なページや記事を閲覧しています。
そのためには画面上のテキストを自動で読み上げるソフトを使用します。
このTAJODA(Tactile Jog Dial – 触覚ディスプレイ)は音声読み上げソフトを自在に操作し、かつテキストのウェイトや行間など音声だけでは伝えにくい情報を触覚ディスプレイから指先に伝えるという機能を併せ持ちます。
桝田は本機器のデザインプロセスの統括・3Dデータ作成・プロトタイピングを担当。
この時、触覚ディスプレイなどのメカニズムについては既に完成していたので、私の役割はこの機器がどのように使われ、どのような形状・キーの配置であるべきか、といったところに答えを見つけることでした。ターゲットユーザーは目の見えない方なので、視覚的なデザインではなく、触覚的なデザインという点がチャレンジとなるポイントでした。
デザインのコンセプト立案や、形状の発想には札幌市立高等専門学校(現札幌市立大学)のプロダクトデザインを学ぶ学生有志が参加頂き、学生ならではの柔軟な発想をぶつけ合い各々の思う理想像を描いてもらいました。スケッチレンダリングやクレイモデリングなど、基本的な製品デザインの技術指導を実施。さらに内部メカニズムが収まる筐体サイズ検討や、パーツ分割の考慮など、実際に製品化できることを想定した製品デザインの醍醐味といえるデザインワークを経験してもらいました。
当研究の大元である東京大学先端科学技術研究センター(当時)の伊福部達教授を中心にコンセプトモデルの実証リサーチを実施し、様々なインプットを頂きながらスタイルをブラッシュアップしていきます。
最終先行となったデザインを、実際に稼動するモックアップモデルにしていくために3DCADで3Dデザインデータを作成していきます。クレイモデルの曖昧な部分を整った寸法にしていき、原型を損なわない範囲で内部メカニズムを組み込んでいきます。この後はメカニズム担当の企業と連携しながら機能モックアップモデルを完成させるに至りました。
当プロトタイプモデルについては「デザイン専門誌 AXIS No.128 」の東京大学先端科学技術センターの特集内で見ることができます。
~当時の開発話~
2006年当時、障害を持つ方へのデザイン提案の経験が無かった私は手探りでのデザインワークとなりました。同時に学生への技術指導を並行で行ったため学生が提案するデザイン案を、プロトタイピングに耐えられるクオリティに引き上げることの両立は、やりがいがありつつもバランス感覚が問われる経験でした。
様々なモックアップモデルを作成し、実際のターゲットユーザー(この場合は視覚障害をお持ちになる方)に試用頂き、対話を重ねる事によって、少しづつ理想的な形状に近付けていくエルゴノミクスデザインの正統なプロセスを取ることができました。特にリサーチに参加頂いたユーザー様からは健常者の立場からは予想だにしないアドバイスをもらえたりと、広い視点を養うに大いに役に立ったプロジェクトでした。
プロジェクト詳細
機器名・・・触覚ジョグダイアルマウス(Tactile Jog Dial Mouse)
用途・・・視覚障害者様向けの音声読み上げソフトの操作デバイス
開発期間・・・約7ヶ月(2006年5月スタート・同12月完了)
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